- 2013.09.14 カテゴリ: 判例
- 婚外子の相続差別は違憲
民法900条4号但書には、「嫡出でない子(婚外子。結婚していない男女間の子)の相続分は、嫡出である子の相続分の2分の1」と規定されています。本規定は明治民法で設けられ、昭和22年の民法改正時にも引き継がれ、永年に渡って、憲法14条が定める「法の下の平等」に反するのではないかと争われてきました。最高裁判所は、平成7年に、本件規定は合憲であるとの初めての判断を示し、その後もその判断を維持してきましたが、平成25年9月4日、本件規定が憲法14条に違反するかどうかが争われた2件の家事審判の特別抗告審において、違憲との判断に転じました。さらに、異例なことではありますが、本決定では、判例変更に伴う社会の混乱を避けるため、当該違憲判断は、既に決着済みの相続事案については影響しないことも明示されました。
最高裁判所による法律の規定の違憲判断は、本件で戦後9例目となります。
最高裁判所の決定の要旨は、次のとおりです。
1 本件規定は、遅くとも、平成13年7月当時においては違憲である。
① 相続制度をどのように定めるかは、立法府の合理的な裁量判断に委ねられているが、嫡出子と嫡出でない子との間で法定相続分に関する区別をすることに合理的な根拠が認められない場合には、当該区別は憲法14条1項に違反するものと解するのが相当である。
② 我が国では、昭和50年前半以降、嫡出でない子の出生数の増加傾向が続き、平成期に入ってからは晩婚化、非婚化、少子化が進み、婚姻、家族の形態が著しく多様化しており、これに伴って、国民の意識の多様化も大きく進んでいる。
現在、我が国以外で嫡出子と嫡出でない子の相続分に際を設けている国は欧米諸国にはなく、世界的にも限られた状況にある。
また、本件規定については、国連関連の委員会等から懸念の表明、法改正の勧告等が繰り返されてきた。
③ 法律婚という制度自体は我が国に定着しているとしても、上記のような認識の変化に伴い、父母が婚姻関係になかったという、子にとっては自ら選択ないし修正する余地のない事柄を理由としてその子に不利益を及ぼすことは許されず、子を個人として尊重し、その権利を保障すべきであるという考えが確立されてきているものといえる。
④ よって、遅くとも、今回の事件の相続が開始した平成13年7月当時には、本件規定の合理的根拠は失われており、違憲である。
2 先例としての事実上の拘束性について
① 本決定の違憲判断が、いわば解決済みの事案にも効果が及ぶとすることは、著しく法的安定性を害することになる。
法的安定性は法に内在する普遍的な要請であり、違憲判断も、先例としての事実上の拘束性を限定し、法的安定性の確保との調和を図ることが求められている。
② よって、本決定の違憲判断は、今回の事件の相続開始時から本決定までの間に開始された他の相続につき、本件規定を前提としてなされた遺産分割の審判等により確定的なものとなった法律関係に影響を及ぼすものではないと解するのが相当である。
過去に違憲と判断された8例については、判決後、国会が立法措置で是正しています。本件についても、国会は法改正を迫られることになります。
(弁護士 森 有美)

