神戸中央法律事務所

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法律コラム

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2013.08.01  カテゴリ: 法改正
民法改正について

民法は,明治29年に制定されたとても古い法律で,我々市民にとって最も身近で基本的なルールを定めています。この民法が,約120年ぶりに大きく改正されようとしています。

そこで,今回は,民法の消滅時効制度の改正について取り上げたいと思います。

消滅時効制度とは,一定期間の経過により権利の消滅が生ずる制度をいいます。現在の民法における債権の消滅時効の期間は原則10年です(民法167条1項)。例えば,甲さんが乙さんに対して100万円の貸金債権(乙さんに対し100万円を返せと言える権利のことです。)を持っているとしても,甲さんが10年間権利の行使をしないときは,甲さんの貸金債権は消滅してしまいますので,甲は,乙に対し100万円返せと言えなくなります。

もっとも,債権の消滅時効の期間には様々な例外があります。

例えば,不法行為に基づく損害賠償請求権(交通事故の被害者が,運転手の加害者に対し,治療費等を請求する場合等。以下、「不法行為債権」と言います。)の消滅時効の期間は,被害者が損害の発生と加害者を知った時,つまり現実に権利の行使ができるようになった時から3年です。例えば,ひき逃げで加害者がわからない場合,加害者を知ったときにあたらないので消滅時効は進行しません(20年の除斥期間というものもありますが,ここでは説明を省略します。)。

また,現在の民法では10年よりも短い期間で時効となってしまうという短期消滅時効制度があります。例えば,飲食店のツケやレンタカー、レンタルビデオ料金は1年で(民法174条4号,同条5号),塾の授業料は2年で(民法173条3号)で時効により消滅してしまいます(ちなみに,弁護士の報酬も2年で消滅時効にかかります。)。

しかしながら,法制審議会の民法(債権関係)部会(今回の民法改正について検討しています。)が提案した民法の改正案(「民法(債権関係)の改正に関する中間試案」)では,このような短期消滅時効制度は時代に合わない等の理由により,廃止することが提案されています。そして,それを前提に,消滅時効の期間については,以下の2つの案が提案されています。

一つ目の案は,現在の消滅時効の原則期間を10年から5年に短縮する案です(甲案)。

二つ目の案は,現在の10年の消滅時効を維持した上で,不法行為債権と同様に,債権の発生原因と債務者を知った時,つまり現実に権利の行使ができるようになった時から3年,4年または5年(何年にするかについても検討中です。)の短期時効を併存させ、いずれかのうち早い方の時効期間が満了したときに権利を消滅させるという案です(乙案)。

これらの案がそのまま採用されるとは限りませんが,どちらかの案が採用された場合,現在の民法と比べると,権利が消滅するまでの期間が短くなってしまいます。仮にこのような時効期間を現在よりも短くする改正が行われた場合,債権者としては,権利が消滅しないようより気をつけなければなりません。

いずれにせよ,現在の民法ではまだ短期消滅時効制度は廃止されていませんので,短期消滅時効にかかってしまう権利の行使は早急に行うべきです。

(弁護士 奥谷 謙一)

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