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法律コラム

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2013.05.01  カテゴリ: 法改正
訪問購入

高齢化社会を背景に、近年、高齢者を狙った、消費者被害がますます深刻化しており、最近では「訪問購入」(押し買い)という新しい被害類型も急増しています。
「訪問購入」とは、購入業者が、店舗等以外の場所で行う物品の購入のことをいいます。例えば、業者が突然自宅を訪問してきて、「貴金属を売って欲しい」などと執拗に勧誘し、消費者がいくら断っても居座って帰らず、強引な勧誘に押し切られ、大切な物品を廉価で売却してしまうようなケースです。
これまでは、これらの購入業者に対しては、古物営業法で僅かな規制があるのみで、このような被害類型に対処できる法令はありませんでした。
そこで、この状況に対処するため、特定商取引法が改正され、消費者トラブルが生じやすい取引として従前から規制されていた6類型の取引に加え、7番目の新たな取引類型として、「訪問購入」が追加されました。改正特定商取引法は平成25年2月21日から施行されています。
改正特定商取引法では、原則として、全ての物品が「訪問購入」の規制の対象とされています(ただし、自動車、家電、家具、書籍、有価証券、CD・DVD・ゲームソフト類をのぞく)。
改正特定商取引法における「訪問購入」取引の主な規制の概要は以下のとおりです。違反業者に対しては業務停止等が命令され、また悪質な違法行為には、刑事罰が科せられます。

 

  1. ①不招請勧誘の禁止、勧誘意思の確認義務、再勧誘の禁止 飛び込み勧誘は禁止されており、消費者から査定の依頼があっても、買取り行為等、査定を超えた勧誘は禁止されています。また、一度取引を断った消費者への再勧誘も禁止されています。
  2. ②事業者名・勧誘目的等の明示
    勧誘に先立って、事業者名、勧誘目的や物品の種類などを明示しなければなりません。
  3. ③不実告知・重要事項不告知等の禁止
    物品の性能や購入価格等について不実を告げたり、故意に事実を告げない行為は禁止されています。
  4. ④威迫・困惑行為の禁止
    消費者に迷惑をかけるような言動や方法等の勧誘は禁止されています。
  5. ⑤書面の交付義務
    物品の種類や特徴、購入価格、引渡しの拒絶やクーリング・オフに関する事項などが記載された書面を交付しなければなりません。
  6. ⑥クーリング・オフ
    消費者は⑤の書面が交付された日から8日以内であれば、無条件で一方的に契約の解除ができます。また、クーリング・オフ期間中は、業者に対する物品の引渡しを拒むことができます。
  7. ⑦通知義務
    業者は、クーリング・オフ期間中に第三者に物品を引き渡す場合、第三者にクーリング・オフの対象物品であることなどを書面で通知しなければなりません。また、売主(消費者)に、第三者の引渡しに関する事項を通知しなければなりません。

 

高齢者を狙った悪質商法は日々進化しており、残念ながら、法改正をしても追いつかず、すぐにまた新たな被害類型が発生するというのが現状です。
ご家族や周りの方々による日々の見守りも、被害防止として非常に重要とえいます。

(弁護士 中尾 悦子)

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