- 2013.06.01 カテゴリ: 判例
- ピンク・レディー事件最高裁判決
少し前のことですが、ある事件の最高裁判決が巷を賑わせました。その事件は、俗に「ピンク・レディー事件」と呼ばれています。
事案の内容を簡単に紹介しますと、「ピンク・レディー」として名を馳せた2名(原告ら・上告人ら)が、自分たちの白黒写真(14枚)を使用しつつ、ピンク・レディーの曲の振付けにちなんだダイエット方法に関する記事を雑誌に掲載した出版社(被告・被上告人)に対し,不法行為に基づく損害賠償を請求したというものです。
この事件で、原告らが被侵害利益として主張したのが、いわゆる「パブリシティ権」でした。
パブリシティ権とは、同最高裁判決(最判平成24年2月2日民集66巻2号89頁)によれば、「商品の販売等を促進する顧客誘引力」を「排他的に利用する権利」と定義されています。要するに、芸能人やトップアスリートといった著名人の肖像等がもっている経済的な価値(の利用権)のことをいいます。
そして、上記判決は、最高裁判所として初めて、
パブリシティ権が人格権に由来する法的な権利であること
を認め、パブリシティ権侵害の不法行為の成否に関する判断枠組みとして、
「専ら肖像等の有する顧客吸引力の利用を目的とするといえる場合」であるか否か
という基準を示しました。
また、上記判決は、「専ら肖像等の有する顧客吸引力の利用を目的とするといえる場合」の例として、①肖像等それ自体を独立して鑑賞の対象となる商品等として使用する場合、②商品等の差別化を図る目的で肖像等を商品等に付す場合、③肖像等を商品等の広告として使用する場合の3つのパターンを挙げています。
上記判決については、一般に、パブリシティ権が「人格の商業的価値」に由来する権利であるとする判例・通説の立場(人格権説)を採用するとともに、表現の自由との関係で、不法行為が成立する範囲を絞ったもの(「専ら」基準説)と評価されています。
市井の一弁護士としては、「人格の商業的価値」と言われても、どこか遠い世界の出来事のようにも感じられますが、一方で、法律学を学んできた者にとっては、「最高裁判所が、ついに『○○権』を認めた!」などと聞くと、やはりちょっとした興奮を覚えます。昨年初めに出された最高裁判決ではありますが、最初に執筆する法律コラムにはちょうどよい、華やかなトピックスのように思いましたので、今回取り上げてみました。
これからも、縁遠い法律の世界の話題を少しでも身近に感じていただけるよう、工夫を凝らして皆様にご紹介していきたいと思います。
(弁護士 佐藤 祥徳)

